講談社漫画賞特別賞に「島耕作」と「はじめの一歩」
第43回講談社漫画賞の贈呈式が7月10日、東京都内のホテルで開かれた。長年にわたり多大な功績を残した漫画を顕彰する特別賞には、弘兼憲史氏の「島耕作」シリーズと森川ジョージ氏の「はじめの一歩」の2作品が選ばれた。
「島耕作」シリーズは「団塊の世代」のエリート会社員を主人公にした弘兼氏の代表作。同氏は「『島耕作』が始まって36年、その時からアシスタント陣はほとんど変わっていない」と、ともに連載に励んできたスタッフをねぎらった。当初は読み切りの作品として描いたが、同時代の読者の共感を集め「課長 島耕作」から連載となった。主人公は部長、専務、社長と出世を重ね、現在は「会長 島耕作」を連載中だ。「このたび会長を退任して相談役についた。あと何年続くかわからないが、もうちょっとしつこく描いていきたい」と抱負を語った。
「はじめの一歩」はいじめられていた主人公がボクシングに打ち込み、成長していく物語。ボクシング漫画の金字塔を打ち立てた、ちばてつや氏の「あしたのジョー」は2009年に特別賞を受賞した。森川氏は「3、4歳のときにちばてつやに憧れてずっと漫画を描いてきた。同じ賞をもらい『こっちに進みなよ』と言われているようでうれしい」と熱く語った。
両作は1991年にも講談社漫画賞を受賞、今回は約30年ぶりの同時受賞となった。選考委員の赤松健氏は「『島耕作』の魅力とカリスマ性は(そのまま)弘兼先生の魅力とカリスマ性である。『はじめの一歩』は実力、実績、人気ともにチャンピオン」と評した。
他の授賞は少年部門が春場ねぎ「五等分の花嫁」と大今良時「不滅のあなたへ」、少女部門が有賀リエ「パーフェクトワールド」、一般部門はよしながふみ「きのう何食べた?」。赤松氏は「ジャンル分けがそろそろ厳しくなってきた」と同賞の課題にも言及した。
(村上由樹)