6月企業物価、「川下」の下落幅拡大 耐久消費財も弱さ
日銀が10日発表した6月の企業物価指数(速報値)は、消費者に近い「川下」にあたる最終財が前年同月比で1.1%低下した。2カ月連続で下がり、5月からマイナス幅を広げた。ガソリン価格の下落が響いたほか、家電など耐久消費財の価格も弱含んだ。消費者物価指数にも下押し圧力がかかる可能性がある。
企業物価指数は出荷や卸売り段階で取引される製品の価格水準を示す。6月の総平均は0.1%低下し、2016年12月以来2年半ぶりに前年同月を下回った。米中貿易摩擦の激化などを受けて国際商品相場が下がり、需要項目別で素原材料が5.3%下落した。最終財の下落もガソリン安の影響が大きい。
見逃せないのは商品市況以外にも物価を抑え込む要因が顕在化しつつある点だ。SMBC日興証券の宮前耕也氏は「春ごろの食料品値上げの動きが一服し、10月の消費増税をにらんだ駆け込み消費も鈍い」という。最終財のうち耐久消費財は2.7%下がり、マイナス幅は2年2カ月ぶりの大きさを記録した。
焦点になるのが消費者物価への波及度合いだ。ここ数年の企業物価の上昇局面では、企業のコスト削減努力で顧客への価格転嫁はさほど進まず、消費者物価の押し上げ効果は限られた。ただ、今回の企業物価の下落は「徐々に消費者物価への下押し圧力が働く」(みずほ総合研究所の谷真吾氏)との声も出てきた。
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