駐米英大使、トランプ氏「無能」と酷評 英報道
【ロンドン=中島裕介】英紙メール・オン・サンデーは7日、ダロック駐米英大使がトランプ米大統領を「無能」で「適任ではない」などと指摘したメールや文書を本国に送っていたと伝えた。米メディアによると、トランプ氏は7日、記者団に、報道は「見ていない」としたうえで、同大使は「英国の役にたってこなかった」と反発をみせた。
英政府は報道の内容については否定しないまま、ダロック氏の通信内容の漏洩に関する調査に入る方針を固めた。同紙は2017年から現在に至るまでのダロック氏の通信内容を伝えた。トランプ政権については「この政権がより機能的になるとは信じられない。政権の機能不全や予測不能さ、外交政策の不器用さや無能さが改善されるとは全く思えない」と記した。
トランプ氏本人に対しては「愚かで」「安定性に欠け」「無能だ」と表現した。イラン政策についても「支離滅裂で混乱している」と指摘した。
ハント英外相は7日、英BBCの取材に「(駐在先の任地について)率直な意見を本国に伝えることが大使の仕事である」と述べ、メモについては否定しなかった。一方で「内容は英国政府の見解でも私の見解でもない。トランプ大統領の下で米政権は非常に機能している」と語った。大使の異例の批判により「特別な関係」と呼ばれる米英関係が悪化しないよう、火消しを図ったとみられる。