19年夏の海外旅行者数、2000年以降で最高に
2019年夏(7~8月)の旅行需要は好調なようだ。JTBによれば海外旅行者数は前年比3.5%増の299万人で00年以降で最高を更新しそうだ。台湾や香港などのアジア地域への渡航が伸びる一方で、帰省など国内旅行が振るわず総旅行人数は前年から0.1%減の7734万人と予測される。10月に予定する消費増税前の買い控えなどがあるとみる。
JTBがアンケートや販売状況、航空会社の予約状況から、7月15日~8月31日の旅行動向を予測した。海外旅行者数は比較可能な調査がある00年以降で過去最高の299万人を見込む。8泊以上の旅行など、長期間の旅行が昨年より多く海外旅行消費額も前年比9.8%増の6808億円だった。
20~30代の若い女性などの渡航が好調で、台湾や韓国といったアジア方面(前年比5%増)が人気だ。全日本空輸の大型航空機など供給が増えてハワイも好調(前年比2.2%増)のもよう。出発のピーク日は8月10日とみる。
一方で国内の旅行者数は7435万人と、前年から0.2%減る見込みだが宿泊単価の高騰で、国内旅行消費額は3.8%増の2兆6915億円とみられる。国内の減少が影響し、総旅行人数は7734万人と前年から0.1%減る予測だが、総旅行消費額は前年比4.9%増の3兆3723億円を見込む。
JTBによると、海外・国内ともに「10連休で旅行者が増えたゴールデンウイーク(GW)の反動減の動きは見られない」という。国内旅行者数は、10月の消費増税前の買い控えや、夏のボーナスの減少などで減るもよう。JTBのアンケートでは、40~60代の男女それぞれで「昨年より夏のボーナスが減った」と答えた人が、「増えた」の回答数を上回った。「収入自体が減った」との回答も多かった。
内閣府の景気ウオッチャー調査でも、5月の現状判断指数は3年ぶりの低水準だった。国内旅行は出発の直前に決めるという人も多く、ボーナス額などが影響しやすいという。
旅行各社の足元の旅行動向を見ると、エイチ・アイ・エス(HIS)では昨年に続き、ハワイ行きの旅行商品の予約がもっとも多い。北朝鮮のミサイル問題で数年前は渡航が落ち込んでいたグアムも復調している。今夏はハワイ・グアム合わせて座席数で前年比5割増の航空チャーター便を用意する。
阪急交通社や日本旅行では国内ツアーで、「避暑」をテーマにした旅が人気だ。それぞれ北海道の道東で長期滞在ができるプランを設け、涼しさを求める需要に応える。