トルコ中銀総裁が更迭 後任に副総裁
【イスタンブール=木寺もも子】トルコ中銀のチェティンカヤ総裁が6日、更迭された。後任にウイサル副総裁が昇格した。同日早朝に政府がエルドアン大統領による決定を公報した。詳細な理由は明らかにされていないが、任期途中に中銀総裁を更迭するのは異例だ。同国中銀の独立性への懸念が高まりそうだ。
ロイター通信は関係者の話として、エルドアン氏や娘婿のアルバイラク財務相がチェティンカヤ氏に辞任を求めたが、同氏が中銀の独立性を理由に拒否したために更迭されたと報じた。
中銀は2018年夏の通貨危機以来、通貨リラの防衛のために高金利を維持してきた。景気浮揚を優先するエルドアン氏は中銀に利下げ圧力をかけていたが、中銀は6月の金融政策決定会合まで6会合連続で主要な政策金利を年24%に据え置いた。次回会合は7月25日に開く。
3月以来、リラ相場は下落基調にあったが、米利下げ観測を受けて対ドルで持ち直しつつある。5日終値は1ドル=5.62リラと6月初めから約3.8%上昇した。だが中銀総裁の更迭で金融政策の不透明感が強まると市場が受け止めれば、リラ相場が再び不安定になる恐れがある。
チェティンカヤ氏は16年4月に副総裁から昇格し、総裁に就任した。後任のウイサル氏は1971年生まれで、国営銀行幹部などを経て16年6月から副総裁を務めていた。
トルコ中銀のトゥルハン元副総裁は6日、ツイッターで「この決定は中銀の独立性や金融政策の信頼性を大きく損なう」と強い懸念を表明した。トルコの中銀法では任期中の総裁の立場は保証されていた。