無人建機、開発にしのぎ 米キャタピラーが開発
米キャタピラーの日本法人は大成建設と、無人で土の積み込みなどができる油圧ショベルを開発した。すでにコマツも無人建機の開発に着手している。人手不足を商機ととらえ、世界大手2社がしのぎを削る。
キャタピラージャパン(横浜市)は5日、三重県東員町で無人の油圧ショベルが稼働している様子を報道陣に公開した。現場は採石場に囲まれた「CAT」ロゴの黄色い車体がゆっくり動く。一定の分量の土を自動で積み込むようプログラミングされ、センサーなどで安全を確保しながら人が操作するダンプと共同で作業した。
10トンぎりぎりまで載せると人の操作と同じようにダンプの土をならした。そのあとダンプに対してクラクションを鳴らし、前に進むよう促した。
油圧ショベルの商用化は未定だが、2021年以降となりそうだ。今回の建機に人工知能(AI)の技術は利用されていない。今後、動きの精度を上げていくために活用していく見込み。
無人の油圧ショベルを実現させた技術のひとつに電子化がある。すでに17年秋に発売した新型モデル「CAT320油圧ショベル」に搭載されている。アームなど操作をすべて電子制御にしたことで、無人でなめらかな操作が可能になる。
キャタピラージャパンのハリー・コブラック代表は5日、「オペレーター不足のなかで、無人建機への需要は強い」と話した。
他社の動きも活発だ。コマツは18年、画像認識やAIを使って自律的に作業できる建設機械を開発し、早期の実用化を目指している。日立建機も21年ごろまでに、無人で動く道路機械「タイヤローラー」の実用化を目指しており、すでにデモ機械を開発した。
米キャタピラーのプロダクトマネジャー、フレッド・リオ氏は「複雑な作業は人間ならではだが、現場の95%の作業は自動のマシンでできる」と指摘する。同社の無人建機で最初に発売される見通しなのは、道路を踏み固める「コンパクター」で、20年の計画だ。
「完全無人」の現場は少し先の未来かもしれないが、世界大手の建機メーカーの開発競争熱が高まることで、現実味を帯び始めている。