日本製鉄広畑、新社名で気合 8年ぶり都市対抗
野球の都市対抗大会が13日、東京ドームで開幕する。関西勢の注目は全36チームを通じて最も前回出場からのブランクが長い、8年ぶり32度目となる日本製鉄広畑(兵庫県姫路市)。社名変更した年に巡ってきた久々の大舞台に腕をぶしている。
6月5日の近畿地区2次予選第2代表決定戦で、NTT西日本(大阪市)に3-0で快勝。新人の川瀬航作(京都学園大=現京都先端科学大)が完封し、2011年以来となる都市対抗本戦の切符をつかんだ。
打線の核の3番堀口裕真(龍谷大)、4番西川雄大(関西国際大)もルーキー。加入1年目から屋台骨として活躍した3人について、浜口直也監督は「都市対抗予選の怖さを知らない新人がプレッシャーを感じずのびのびやってくれた」と話す。
「もともと打つチームではない」と打力の評価は控えめな浜口監督も、投手陣には手応えを持つ。エース右腕の尾嶋佳太が先発して川瀬がつなぎ、150キロ近くを投げるプロ注目の宮田康喜が締めるのが理想の継投パターン。森本汰一や島袋洋平が中継ぎで控えるところに、ニチダイから山下真史、ミキハウスから山崎悠生の両左腕が補強選手として加わる本戦は万全の布陣で臨むことになる。
チーム発足は1939年。現在とは異なる国策会社「日本製鉄」の広畑製鉄所に創部し、富士製鉄広畑時代の68年に都市対抗初優勝を果たした。70年に新日鉄広畑に名前が変わると、翌71年に2度目の優勝。新日鉄住金広畑を経て今年、日本製鉄広畑に生まれ変わった。
創部80周年の年に久々の都市対抗出場。がぜん気合が入るが、会社関係者が注目するのは「80周年」よりチーム名変更の方だという。新日鉄広畑に名を変えて程なくして優勝した経験から、再び名前が変わった今年は優勝を、と期待が高い。
三菱重工神戸(現三菱重工神戸・高砂)とほぼ一騎打ちで争ってきた兵庫代表枠が11年限りで消滅。近畿地区代表枠を大阪などの多くの強豪と争う構図に一本化されたことが、都市対抗から長く遠ざかる一因になった。18年7月にコーチから昇格した浜口監督のきめ細かな指導のかいあって、同年秋の日本選手権は23年ぶりにベスト8進出。都市対抗では今年、ついに近畿地区の荒波をかいくぐって本戦出場を決めた。
「都市対抗は高校生でいう夏の甲子園」と浜口監督。優勝を目指す一方、同じ社名を冠する日本製鉄室蘭シャークス(北海道室蘭市)、日本製鉄鹿島(茨城県鹿嶋市)と対戦し「客席を日本製鉄の応援団で埋めたい」とも夢想する。
(合六謙二)