車いすマラソン・フグ 「銀色の弾丸」タイトル独占
やっと最後のピースが埋まったとの安堵の気持ちだったのだろう。3月3日の東京マラソンの車いす男子。初優勝を飾ったスイスのマルセル・フグ(33)はレース後の記者会見で「幸せで大満足です」と笑顔を見せた。
リオデジャネイロ・パラリンピックで金メダル。ボストン、ロンドンなど6つのメジャーなマラソンの総合成績で争う「ワールド・マラソン・メジャーズ」でも2年連続チャンピオンに輝く絶対王者だが、東京は鬼門だった。初出場の17年は最後に競り負け、18年は搭乗機のトラブルで欠場。他の5大会で優勝を重ねるフグにとって、東京のタイトルは宿願成就だ。
先天性の二分脊椎で子どものころから車いす。10歳の時に出た陸上大会で、いまもコーチを務めるポール・オダーマットの目に留まり、二人三脚が始まる。18歳で初出場したアテネ・パラからリオまで金2つに銀4つ銅2つ。トラック種目との二刀流がレース終盤での無類の強さを生む。ヘルメットの色からついた愛称「銀色の弾丸」は、15日のボストンマラソンでも要注目だ。