アシックス、東京五輪へスタートアップと協業
アシックスは3日、スタートアップ企業を対象とした事業パートナーの審査会を開いた。人工知能(AI)を活用した売り上げ予測システムを開発するイライザ(東京・文京)などを選んだ。アシックスは2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた商品・サービスの共同開発を目指す。
スタートアップ企業の育成を支援する「アシックス・アクセラレーター・プログラム」を日本で初めて開催した。テーマは「ROAD TO 2020(ロード・トゥ・2020)」で、東京五輪・パラリンピックの商機をつかむアイデアを募集する。書類や面接選考を経て8社に絞り、3日に最終審査会を開いた。
広田康人社長は冒頭、「『2020』はビジネスで大きく飛躍する千載一遇のチャンスだ」と説明した。「社外のイノベーションと、アシックスのテクノロジーとグローバルなプラットフォームをかけあわせて(事業展開を)スピードアップすることが重要」とも述べた。
8社はアシックス幹部に事業連携の提案を説明したり、質問に答えたりした。同社の投資子会社のアシックス・ベンチャーズ(神戸市)から出資を受けているスタートアップ企業の幹部らによるパネルディスカッションも開いた。
最優秀賞にはイライザのほか、足にかかる負荷などを測るスマートシューズ開発のノーニューフォークスタジオ(東京・千代田)を選んだ。優秀賞はランニングのコミュニティーサービスのラントリップ(同・渋谷)と子供向けスポーツスクールのビーマ(同・世田谷)。アシックスはこの4社と実証実験などを実施し、20年までに直営店や施設、イベントなどでの実用化を目指す。
アシックスは18年から19年にかけて欧州で同様の育成支援プログラムを開いたほか、16年に設立したアシックス・ベンチャーズを通じて国内外のスタートアップ企業10社に出資した。19年6月に出資を発表したカナダ企業は欧州のプログラムに参加していた。
アシックスは東京五輪・パラリンピックで国内最高位スポンサーであるゴールドパートナー契約を結び、日本代表選手やボランティアにウエアなどを提供する。関連グッズの販売に加え、外部のアイデアを取りこんで一大商戦に臨む。
(大阪経済部 小泉裕之)
関連企業・業界