欧州の銀行、新規制で資本16兆円不足 EBA試算
【ロンドン=佐竹実】欧州銀行監督機構(EBA)は2日、国際的な自己資本規制「バーゼル3」が2027年に完全に適用され、最も保守的に見積もった場合、域内の銀行が合計で1351億ユーロ(約16兆4千億円)の資本不足になるとの試算を発表した。規制対応で自己資本を24%積み増す必要があるため。低収益に直面する欧州の銀行にとっては逆風となる。
欧州連合(EU)域内の189の銀行を対象に、規制対応の影響を試算した。EBAは17年末時点では域内の銀行に必要な自己資本の積み増しを15%程度と見積もっていた。大幅な自己資本の積み増しは、低収益に苦しむ欧州の銀行にとって重荷となる。
欧州は6千を超える銀行があり、過当競争が収益を圧迫している。さらに欧州中央銀行(ECB)の超低金利で利ざやが縮小しており、ドイツ銀行などEU域内の銀行は大幅なリストラ策を打ち出している。
ただ今後、域内の銀行が足元の利益水準(14~18年の実績)を維持できた場合の資本不足は587億ユーロと、今回の試算結果の半分以下になると予想している。
バーゼル3は、リーマン・ショックをきっかけにバーゼル銀行監督委員会が10年に合意した金融規制だ。金融危機を防ぐことを念頭に、銀行が想定外の損失に直面した場合も経営危機に陥ることのないよう自己資本比率の基準を大幅に引き上げた。
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