メルケル独首相「妥協」呼びかけ EU首脳人事、討議3日目
【ブリュッセル=石川潤】欧州連合(EU)は2日、ブリュッセルで臨時首脳会議を開き、2019年秋に任期を終えるユンケル欧州委員長、トゥスクEU大統領らの後任人事を討議した。30日夜から1日にかけて徹夜で議論したがまとまらず、異例の3日目の協議に入った。ドイツのメルケル首相は2日の会議前、決着に向け「それぞれが動くべきだ」と述べ、妥協を呼びかけた。
メルケル氏は事態打開には「新たな創造性」が必要だとも語った。1日までの協議では行政トップの欧州委員長に元オランダ外相のティメルマンス欧州委員会第1副委員長を起用する案が話し合われた。だが、同氏は強権統治に傾くハンガリーやポーランドの政権と激しく対立してきた経緯があり、東欧などが人事案に強く反発していた。
2日になると欧州委員長にウルズラ・フォンデアライエン独国防相をあてる案が浮上していると欧州メディアが相次ぎ報じた。仮に実現すれば1967年に退任したハルシュタイン欧州経済共同体(EEC)初代委員長以来のドイツ人トップとなる。だが独の影響力拡大への警戒は根強く、加盟国全体の賛同を得られるかどうかは不透明だ。
2日の協議では、欧州委員長のほか、首脳会議の議長を務めるEU大統領、EUの外相にあたる外交安全保障上級代表の後任人事が話し合われた。欧州中央銀行(ECB)総裁の決定は後日になる見込みだ。