米大統領選、民主本命バイデン氏に陰り ハリス氏急伸
【ワシントン=永沢毅】2020年米大統領選の野党・民主党候補の指名争いで最有力と目されたバイデン前副大統領の人気に陰りがみえている。直近の世論調査で支持率が急落した同氏に代わり、大きく伸ばしたのがハリス上院議員ら女性候補だ。バイデン氏ら白人男性の優位だった勢力図が変わる可能性がある。
米CNNが6月28~30日に民主支持者を対象にした世論調査で、バイデン氏の支持率は前回5月末の32%から22%に10ポイント下がった。ハリス氏は8%から17%に伸び、首位バイデン氏に5ポイント差に迫る2位に躍進した。
きっかけは民主が6月26、27両日に大統領候補を集めて開いた初のテレビ討論会だ。2日目に登場したハリス氏は、バイデン氏への批判を展開した。バイデン氏には人種差別主義者の上院議員を称賛した過去があり、1970年代に黒人と白人の差別解消を進めるためのバス通学制度にも反対していたと追及した。
バイデン氏は「私の立場が誤解されている。人種差別主義者を称賛したことなどない」と反論したものの、視聴者に防戦一方の印象を与えた。
ハリス氏はジャマイカとインドをルーツとした両親を持つ黒人女性。自身の差別経験も交えた同氏の追及はバイデン氏に打撃となった。調査会社モーニング・コンサルトによる調査でも、討論会前後でバイデン氏の支持率は38%から33%に下がり、ハリス氏は6%から12%に上がった。
バイデン氏がこれまでトップを走っていたのは、上院議員を36年、オバマ前政権で副大統領を8年それぞれ務めた豊富な経験と知名度によるところが大きい。ただ、その経験が他候補から標的にされるリスクがある。
世論調査ではウォーレン上院議員も支持率を伸ばした。国民皆保険や教育無償化、有力IT(情報技術)大手の分割といった左派色の強い政策を掲げる女性候補だ。性的少数者(LGBT)であることを公言し、候補者の中で37歳と最年少のブティジェッジ氏も支持率5位をキープした。
一方、支持率2位を維持してきたサンダース上院議員が順位を4位に落としたのに加え、「オバマ前大統領の再来」と称されたオルーク前下院議員も伸び悩んだ。白人男性よりマイノリティー候補の健闘が光った。