LINEモバイルに措置命令、「登録手数料なし」は不当表示
登録手数料の免除をうたう広告に誤解を与える表現があったとして、消費者庁は2日、ソフトバンク傘下の格安スマートフォン会社「LINEモバイル」(東京・新宿)に対し、景品表示法違反(優良誤認)で再発防止を求める措置命令を出した。格安スマホ事業者に対する同法違反の行政処分は2例目という。
消費者庁によると、LINEモバイルは自社サイトで2017年11月~19年1月、販促のために家電量販店などで扱っている「エントリーパッケージ」(実売価格500円程度)を事前に購入した契約者を対象に、申込時にかかる3千円の登録事務手数料が「不要」と宣伝していた。
データ通信のみが可能なSIMカードのプランを選んだ場合は免除されない仕組みだったが、サイト内の説明が分かりにくく、同庁は全てのモバイルサービスに当てはまる印象を与える不当な表示と判断した。
LINEモバイルへの聞き取り調査などからは、広告表示を担当した企画部門が法務のチェックを受けた形跡は確認できなかった。消費者庁は社内の体制に問題があったとみている。同社は処分を受け、「チェック体制の強化や社員教育の徹底等、再発防止に取り組む」とするおわびのコメントを発表した。
格安スマホの顧客獲得競争は激しく、17年には「フリーテル」のブランドを当時運営していた業者がウェブサイトで「『業界最速』の通信速度」などと表示したとして景表法違反で措置命令を受けている。
今秋に予定される通信契約と端末購入代金のセット値引きを禁じた「完全分離プラン」の義務化を見据えてNTTドコモやKDDIなど大手が相次ぎ値下げし、競争環境は厳しさを増している。
調査会社のMM総研(東京)の調査では、ソフトバンク系の「ワイモバイル」をのぞく格安スマホの19年3月末の契約件数は1312万件と、前年度末と比べて21.2%増えた。昨年度は前年度比3割増、それ以前は5~6割のペースで増えてきたが、成長率は鈍化している。
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