九州・沖縄の景況感、米中摩擦や人手不足で2期連続悪化
日銀福岡支店が1日発表した6月の九州・沖縄企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は全産業でプラス12と、前回調査から1ポイント悪化した。2四半期連続の低下で、米中貿易摩擦の激化や人手不足が地場企業の心理に影を落としている。
製造業の業況判断DIは横ばいのプラス5。業種別では非鉄金属がマイナス8(17ポイント低下)、金属製品がマイナス13(9ポイント低下)と悪化が目立った。宮下俊郎支店長は「米中貿易摩擦の負の影響が、機械や自動車などの業種以外に拡大している」と指摘する。
北九州地域の製造業はマイナス7で、2四半期連続のマイナスだった。梅田秀彦・北九州支店長は「中国の自動車販売減速で鉄鋼関連の弱い動き、春から続く半導体産業の生産・在庫調整がある」とみる。
非製造業の業況判断DIも横ばいのプラス17。人手不足が深刻化している飲食・宿泊サービスや建設、運輸・郵便で悪化が目立つ。全産業は1ポイント悪化。前回は5ポイント悪化しており、宮下支店長は「水準は低いが踏みとどまっている。ただ先行きは下方リスクが高いことは間違いない」とした。
2019年度の設備投資計画は製造業で18年度比44.4%増と、3月時点から大幅に上方修正。特に自動車関連や輸送用機械、化学中心に能力増強投資が盛んという。
米中貿易交渉が再開される見通しとなったことについて、梅田支店長は「九州にとってプラスだが、どう進捗するか。半導体産業などが見込む下期の需要回復シナリオがいつ、どう実現されるかを慎重に見る」としている。
関連企業・業界