ハイセンス、半導体開発の新会社設立 製品高度化急ぐ
【香港=比奈田悠佑】中国の家電大手、海信集団(ハイセンス)は半導体の研究開発で、近く新会社を設立する。国内外でテレビなど家電市場が飽和するなか、中核部品の半導体の開発体制を強化し、製品の高度化や他社との差別化を急ぎたい考えだ。
具体的には、ハイセンス傘下のテレビ事業会社、青島海信電器などが合計5億元(約80億円)を出資し、新会社を設立する。環球時報(電子版)など複数の中国メディアが報じた。新会社は画像処理を行う半導体や人工知能(AI)を駆動する半導体を研究開発するという。開発した半導体をもとに、他の家電との連携などをスムーズにするなどテレビの高機能化に役立てる考えだ。
青島海信電器は2018年に東芝のテレビ事業を買収するなど、高精細の映像処理技術など研究開発体制を強化してきた。ただ映像の高精細化では他社も同じく力を入れており、現状では差異化が難しくなっている。
さらに中国は世界最大のテレビ市場だが、ここにきて失速している。18年の販売総額は前年比1割減と大きく落ち込んだ。普及率の高止まりに加え、ブランド乱立による競争激化で単価も急速に下落しており、家電各社の生き残りをかけた模索が続いている。