路線価4年連続上昇 2019年分、訪日効果が波及
国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2019年分の路線価(1月1日現在)を発表した。全国約32万地点の標準宅地は18年比で1.3%のプラスとなり4年連続で上昇した。上昇率はこの4年で最も高かった。地方にも波及しつつある訪日客の増加や再開発などが地価上昇をけん引している。
都道府県別の路線価は東京、大阪、愛知など19都道府県で上昇した。18年は18都道府県だった。
格安航空会社(LCC)の定期便が増便され、訪日客が増加している大分県などがマイナスからプラスに転じた。下落したのは27県。このうち22県で下落幅が縮小しているものの、大都市圏や集客力のある観光地と、それ以外の二極化傾向は続く。
首都圏では東京都(上昇率4.9%)、千葉県(同1.0%)、埼玉県(同1.0%)、神奈川県(同0.9%)がいずれも6年連続で上昇。愛知県は7年連続で上昇した。最も上昇率が高かったのは沖縄県で8.3%。好調な観光需要が要因だ。
路線価トップは34年連続で東京都中央区銀座5の文具店「鳩居堂」前。1平方メートル当たり4560万円の路線価は3年連続で過去最高を更新した。
不動産サービス大手のジョーンズラングラサール(JLL)の調査では、2019年1~3月期の商業用不動産の取引額は1兆2070億円と前年同期比17%減った。2四半期連続の下落。外国人投資家の不動産取得の減少が目立つという。高値で推移する市況を背景にして、売りに出る大型物件が少ないことなどが要因とみられる。
JLLの谷口学チーフアナリストは「海外勢の投資意欲は衰えていない。地方でも都市部の再開発が進んでいる地域などではオフィスビルの賃料上昇が期待できる。地価の上昇傾向は続くだろう」と話した。
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