米サウジ、イラン封じ込めで結束確認
トランプ米大統領は29日、サウジアラビアのムハンマド皇太子と大阪市内で会談した。トランプ氏はサウジによる米国製兵器の購入は「少なくとも100万人の雇用を生んでいる」と謝意を表明した。皇太子は「両国の成長、雇用創出、安全のため」に協力を深化させたいと述べた。
米・イラン間の緊張が高まるなか、イランの封じ込めに向けた結束や、サウジによる原油の安定供給継続も確認したもようだ。
両者の正式な会談は2018年10月にトルコで起きたサウジ人著名記者殺害事件以降、初めてとみられる。国連の特別報告者は19年6月、事件への皇太子の関与を捜査する必要性を示す「信頼できる証拠」があるとの調査結果を公表していた。
会談は20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)に合わせ、朝食会の形式で行われた。トランプ氏は皇太子を「私の友人」と呼び、通常の会談よりも厚遇する姿勢を示した。事件についての記者団からの問いかけには答えず、皇太子をかばう姿勢を示した。
トランプ政権はイラン核合意から離脱し、対イラン経済制裁を再開した。原油輸送の要衝であるペルシャ湾のホルムズ海峡周辺では、イランが米無人機を撃墜し、トランプ氏が一時報復攻撃を承認するなど緊張が高まっている。
イスラム教スンニ派の盟主であるサウジはシーア派の大国イランと中東の地域覇権を争っており、米国の対イラン強硬路線を支持している。
トランプ政権はイランへの脅威対応を理由に、外国政府への武器売却に義務づけられた議会手続きを省いて、サウジやアラブ首長国連邦(UAE)などへの武器供給を進めている。
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