メルケル首相、全身に震え 独政局の不安要因に
【ベルリン=石川潤】ドイツのメルケル首相が27日、全身が小刻みに震える発作に見舞われた。約1週間前にも同じような症状が表れ、一部で健康不安がささやかれていた。体調はすぐに回復し、28日からの20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)にも予定通り参加するというが、政権の求心力が失われるなかでの健康問題は政局に微妙な影を落としかねない。
27日午前、大統領府での新しい法務大臣の任命式のさなか、メルケル首相の全身が突然震え始めた。首相は両手を前に組み、唇をかみしめるようにして約2分間続いた発作をやり過ごした。途中で水を差し出されたが、口にしなかった。
18日にもベルリン市内でのウクライナ大統領の歓迎式典で同じような発作に襲われていた。18日は最高気温が30度近くで、日差しが直接照りつける屋外での式典だったため、水分を十分補給していなかったことが原因とみられていた。
ベルリンは26日には気温が40度近くまで上がったが、27日午前は20度前後の過ごしやすい気候だった。メルケル氏はすぐに回復したもようで、G20サミットのため同日午後、予定通り日本に向けて出発した。
メルケル氏は2021年秋の議員任期満了まで首相を務め、その後政界を引退する考えだ。だが、与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は緑の党に支持率で逆転を許し、政権の求心力は急速に低下している。今回の発作の原因は不明だが、首相の健康への不安が広がれば、早期退陣を求める声が勢いづく可能性もある。