相続、7月から大きく変わる 3つのポイント
民法の相続に関する規定(相続法)が7月から大きく変わります。故人の預金を遺族が必要に応じて換金できたり、介護の貢献に応じて財産を受け取れる権利を義理の娘らにも認めたりします。手続きの混乱や争いの防止に一定の効果が期待されています。ポイントを整理しました。
(1)遺産分割協議中の預金仮払いがOKに
遺言書を残さずに亡くなった場合、故人の財産は遺族(相続人)による共有扱いとなり、分けるためには全員で話し合って方法を決める「遺産分割協議」が必要になります。しかし、協議には時間がかかるのが通常です。その間、生前の入院代や葬儀代の支払いのため故人の預金に頼ろうとしても銀行が容易に換金に応じないことがあります。そこで7月から始まるのが仮払いの制度で、分割協議の最中でも他の相続人の了解なしで一定額まで口座から引き出せるようになります。
(2)「不足分」は現金で請求可能に
遺言が残されていた場合、その内容のとおりに遺産を分けるのが基本ですが、配偶者や子など法定相続人には最低限の割合である「遺留分」が保障されています。ただ、遺言に偏った配分が書かれていたという例もあります。これまでは、例えば次男が不足分の受け取りを兄らに請求すると、財産が相続人の共有状態となり、改めて分けるのに裁判が必要になりかねませんでした。7月からは不足分は現金で請求することになり、裁判は不要となります。
(3)介護した「嫁」にも現金の請求権
子らが親の介護で特別な貢献をしていた場合、「寄与分」といって遺産分けに反映する決まりがあります。その対象はこれまで法定相続人の範囲内に限られ、義理の父を生前に介護した嫁などは対象外でした。7月からは「特別寄与料」が新設され、故人にとっての子供の配偶者らが貢献分を請求できるようになります。