ロシアガス大手、北極圏LNGを日本に初出荷
【モスクワ=小川知世】ロシアのガス大手ノバテクは26日、同国初の北極圏の液化天然ガス(LNG)基地からLNGを日本に初めて出荷したと発表した。ロシアは日本を重点市場と位置付ける。同社が計画する第2の北極圏LNG基地には日本も出資を検討し、月内に最終合意する可能性もある。
ノバテクによると、ロシア北部の「ヤマルLNG」から出荷したLNGを北九州市戸畑区のターミナルで積み下ろした。ヤマルに出資する仏トタルとの長期契約に基づく輸出としている。関係者によると、砕氷LNGタンカーで北極海を西回りに航行して欧州でLNG船に積み替え、スエズ運河を通過するルートで日本に到着した。
ノバテクが22~23年の稼働を目指す第2の基地「アークティック2」では三井物産などが10%の出資に向けて最終調整している。20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で予定する、29日の日ロ首脳会談で最終合意する可能性がある。プーチン大統領の訪日を前にした対日輸出は、エネルギー分野での日ロ協力をアピールする狙いもあるとみられる。
ノバテクのミヘルソン社長は「日本は優先市場のひとつだ」とコメントした。北極海航路やカムチャツカ半島でのLNG積み替え基地計画に触れ、「輸送網の発展が日本への供給拡大を可能にし、両国の経済関係を強める」と意義を強調した。