LIXIL総会、瀬戸CEOの賛成比率53.7% 薄氷の可決
LIXILグループが25日に開いた株主総会で、取締役に再任され最高経営責任者(CEO)に復帰した瀬戸欣哉氏に対する賛成比率が53.7%だったことが分かった。取締役選任には投票した株主の過半数の賛成票を得ることが必要で、これをわずかに上回った。瀬戸氏ら株主側が提案していたほかの候補者の賛成比率も軒並み5割強と薄氷の可決だった。
同社が26日に開示した臨時報告書で明らかになった。株主側のみが候補者にし、選任された6人の賛成比率は50.8~64.6%だった。
新たな経営陣の人選を巡り、瀬戸氏側と会社側が激しく対立した。瀬戸氏の賛成比率は昨年、97.5%だったが、今回は53.7%に急落。それぞれが独自の選任案を提案したため、票が分散し賛成の割合が低くなった。
当初は株主に一定の影響力を持つ米議決権行使助言会社が瀬戸氏側の候補に反対を推奨するなどして、瀬戸氏側が劣勢とみられていた。だが、国内機関投資家の一部が支持に回ったことが過半数の支持につながった。市場では「企業価値向上に向けた意思をより強く感じたのは(事業の選択集中などを掲げてきた)瀬戸氏ら株主側提案の方だった」(国内運用会社)との声があった。
瀬戸氏側・会社側共通の候補だった鬼丸かおる氏と鈴木輝夫氏は90%以上の支持を集めた。
会社側が提案していた松崎正年氏は52.5%、ほかの5候補も51.3~57.9%と軒並み50%台だった。一方、否決された福原賢一氏は44.9%、竹内洋氏も44.4%と、過半数にわずかに届かなかった。
社長兼CEOに復帰した瀬戸氏は26日、都内の本社で社員との対話集会を開催。社員からは今後の経営に関する質問が相次いだ。瀬戸氏は「厳しい道のりが待っている。一緒に乗り越えていけると信じている」と語った。
混乱は収束に向かいつつあるが、今後は経営の重要課題が待ち受ける。瀬戸氏は25日の記者会見で「固定費が高いコスト構造が問題だ」と指摘。売上高の約3割を占めるサッシ・ドア部門は住宅着工戸数の伸びが期待できない。市場が縮小に向かう中でコスト競争力を維持できる生産体制の整備が求められる。
もう一つが潮田洋一郎・前CEOが2011年に買収したイタリアの建材子会社ペルマスティリーザへの対応だ。減損処理で19年3月期の赤字要因となった。瀬戸氏は17年に中国企業への売却を決めたが、対米外国投資委員会(CFIUS)から売却の承認が得られず売却を断念した。ペルマ社を今後どう扱うかが焦点の一つといえる。
26日の東京株式市場で、LIXILグループ株が大幅続伸した。一時、前日比19%高の1760円まで上昇し、約半年ぶりの高値を付けた。終値は16%高の1714円で、売買高も8倍に膨らんだ。瀬戸氏が経営に復帰し、約8カ月間続いた経営トップの混乱をめぐる問題が収束し、業績が改善するとの期待から国内外の投資家の買いを集めた。
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