米国務長官、サウジとUAE訪問 イラン包囲網強める
【ドバイ=岐部秀光】ポンペオ米国務長官は24日、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)を相次いで訪問した。対立が深まるイランへの対応をめぐって両国の首脳と会談した。イランの脅威に対して国際的な包囲網を強めることで一致したもようだ。
ポンペオ氏はサウジ西部のジッダでサルマン国王、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子と会談した。サウジメディアによると「米国とサウジがイランの敵対的な行動に協力して立ち向かい、テロと戦う立場」を確認した。
ポンペオ氏は会談で、2018年10月にトルコで起きた著名サウジ人記者ジャマル・カショギ氏の殺害事件については話題にしなかった。
ポンペオ氏はUAEのアブダビでは、同国の事実上の指導者であるムハンマド・ビン・ザイド皇太子と会った。オマーン湾で6月、航行中のタンカーが攻撃に遭った事件を受け、船舶の安全をどう確保するかについて話し合った。
AP通信によると、ポンペオ氏は「トランプ大統領は(航行の安全を守る)コストを米国では負いきれないことに理解を求めている」と伝えた。
サウジとUAEはイエメンで、イランが支援する反体制のイスラム教シーア派武装勢力フーシと代理戦争を繰り広げる。米イランの対立が激化するなか、フーシによるサウジの空港や発電所を狙った攻撃も増えている。
UAE沖では5月にサウジとUAEのタンカーが何者かに攻撃を受ける事件が発生した。両国はイランが関与したと疑っているもようだ。
米とイランはともに「戦争を望まない」と強調しているが、緊張が高まるなかで偶発的な衝突が起きるリスクが大きくなっている。