平穏な暮らしが「本当の幸せ」 糸満の小6生が詩朗読
「家族と友達と笑い合える毎日こそが本当の幸せだ。未来に夢を持つことこそが最高の幸せだ」。23日の沖縄全戦没者追悼式で平和の詩「本当の幸せ」を朗読した沖縄県糸満市立兼城小6年の山内玲奈さん(11)。平和学習で学んだ沖縄戦の悲劇を二度と繰り返してはいけないという思いを言葉に乗せた。
昨年亡くなった祖父は沖縄戦の体験者だったが「悲しい記憶を思い出させるのはかわいそう」と、戦争の話を直接聞くことはなかった。総合学習で訪れた沖縄県平和祈念資料館で、銃撃をしながら進む戦車の映像や、銃殺された子供の写真に目を奪われた。
「青くきれいな海」「緑あふれる大地」「青く澄みわたる空」。生まれ育った糸満の風景が74年前、爆弾や銃声で一変していたことを改めて知った。平成生まれの自分を含め、沖縄戦を知らない世代が増えているが「二度と悲しい涙を流さないために、伝え継ぐことが私たちの使命だ」と考えるようになった。
詩では「本当の幸せ」とは何かを考えた。「お金持ちになることや有名になることが幸せではない」。自分の暮らしに目を向けると、両親と食事の話をしている時、仲の良い友達とおしゃべりしている時、そんな日常が頭に浮かんできた。
沖縄戦で多くの人が身近な幸せを奪われたことに思いをはせた時、「生きているからこそ笑い合える。未来がある」ことに思い至った。
「令和時代、明日への希望を願う新しい時代が始まった。この幸せをいつまでも」と結んだ山内さん。「詩を聞いた人が本当の幸せとは何なのかを考えるきっかけにしてほしい」と願っている。