鎮魂の明かり、令和も平和祈る 沖縄慰霊の日前夜祭
沖縄は23日、太平洋戦争末期の沖縄戦の犠牲者を悼む「慰霊の日」を迎える。最後の激戦地だった沖縄県糸満市摩文仁の平和祈念公園では22日夜、追悼式の前夜祭が開かれた。遺族の手によってともされた鎮魂の明かりを見つめ、参列者は戦没者の冥福と新しい時代の平和を静かに祈った。
時折小雨が降るなか、園内の沖縄平和祈念堂前では犠牲者の遺族、宇根徹哉さんと宮良美幸さんが「鎮魂の火」をともすと、集まった約400人は堂内で約2分間黙とうをささげた。23日には沖縄全戦没者追悼式が行われる。
公益財団法人沖縄協会の野村一成会長は「令和の時代を生きる私たちは現在の生活が幾多の尊い犠牲のうえに築かれたことを決して忘れず、恒久平和の実現を訴え続けていく」と強調した。
沖縄戦で父を亡くした那覇市の無職、宮里善行さん(78)は「新しい時代にもこんな悲惨な戦争は二度と起こらないように祈り、語り継ぎたい」と話した。
公園内にある沖縄戦犠牲者を中心とした戦没者の氏名が刻まれている「平和の礎(いしじ)」には今年新たに42人が追加され、総数は24万1566人となった。沖縄全戦没者追悼式には玉城デニー県知事や安倍晋三首相らが出席する。
沖縄戦は1945年春、米軍が沖縄本島や周辺諸島に上陸して始まり、住民を巻き込んだ激しい地上戦が展開された。日米双方で20万人以上が犠牲となり、同年6月23日に組織的戦闘が終わったとされる。