統合白紙でも「成長性変わらず」 元気寿司社長、株主総会で
元気寿司の法師人尚史社長は21日の株主総会で、スシローグローバルホールディングス(HD)との経営統合が白紙になったことの受け止めを問われ「成長性に変わりはない」と強調した。両社の業績が好調な中、統合のメリットが見えにくい状況であったことを示唆。次の再編に動くことは「ない」と語り、単独路線で成長を目指す考えを示した。
「本当に一緒になるべきなのか、お互いの特徴を重んじてやっていくべきなのか。この議論を1年半にわたって色々とやってきた」。法師人氏は統合協議をこう振り返った。1ブランドへの統一も含め様々な可能性を検討してきたという。
元気寿司は13年にもカッパ・クリエイトHDと業務提携し統合を目指したが、翌年に破談となった経緯がある。総会では株主から「バツ2」との言葉も出た。
ただカッパとの提携では赤字経営の同社の再建が難航したのに対し、スシローは2018年9月期に2ケタ増益と業績が好調。元気寿司も19年3月期は最高益を更新している。両社が業績を伸ばす中で海外展開の手法などにズレも生じ「ここで無理やり一緒になるよりも、という結論になった」(法師人氏)。
業界首位のスシローとの統合が実現せず5位の座にとどまることとなったが、法師人氏は「伸びしろがある」と強調。高速レーンでできたてを提供する「回転しない寿司」を「堅実に、しっかりと拡大していくことが重要だ」とする。
今後の成長のカギになるのが、店舗数が10店に満たない関西圏の開拓だ。親会社の神明HD社長でもある藤尾益雄会長は「関西は非常に競争が激しく、スシローグローバルHDの本社もくら寿司の本社も大阪にある。その分マーケットが非常に大きくまだまだ出店余地はある」と話した。
ただ統合協議終了の発表後に元気寿司の株価は下落し、21日の終値は3270円と発表前日の17日から13%下げている。株主から株価の受け止めを問われ、藤尾会長が「今の株価は安い。今のうちに買われておいた方がいいかもしれない」と答える一幕もあった。