伊藤忠「靴の世界展開も」 総会でデサントの事業に言及
伊藤忠商事は21日、大阪市内で定時株主総会を開いた。総会では1~3月にTOB(株式公開買い付け)で株式を買い増したデサントとの相乗効果を尋ねる株主からの質問に答える格好で、同社との現状を説明する異例の特別映像を放映した。映像の中では「デサントはシューズ分野での世界展開も可能だ」との考えを示した。
株主総会は2717人が参加し、9人が質問した。開催時間は約2時間。デサントに関して男性株主が「純利益や株価の影響はいつごろから出てくるのか」と質問。岡藤正広会長兼最高経営責任者(CEO)は自身の意見表明は控えつつ、「デサントについては多くの方から問い合わせを受けた。特別映像を用意している」と話し、約5分の映像を放映した。
映像では伊藤忠がデサントに資本参加し、2度の経営危機を支援した経緯を説明。デサントの収益構造が韓国市場に偏っているほか、業績目標を下方修正するなど課題があったと説明するなどTOBに至った背景を紹介した。株式取得を発行済み株式数の40%に抑えたのはデサントの自主独立性を維持するためとした。
今後の成長のカギは中国市場と強調。伊藤忠が紹介した中国事業での合弁相手の安踏体育用品(ANTA)はシューズを自社生産する体制を持つ。すでにデサントは韓国を中心にシューズを展開しているが、この成功モデルを取り入れれば、世界展開も可能との期待感を示した。
映像を補足説明した諸藤雅浩常務執行役員は「今後、(東京五輪など)スポーツの祭典が目白押しななか、デサントと協力して企業価値を向上させていきたい」と話した。今後、具体的な中期経営計画は新たなデサントの経営陣が発表する。
また伊藤忠は18年にユニー・ファミリーマートホールディングスを子会社化した。コンビニエンスストアの24時間営業が問題となるなか、今後のビジネスモデルについて株主から疑問も上がった。岡藤会長は「単なる弁当買う、飲料買うだけではない。次の新しいステージのビジネスをやる。もうしばらくみていてほしい」と話した。