FB仮想通貨「金融安定への影響検討」 英中銀総裁
【ブリュッセル=篠崎健太】英イングランド銀行(中央銀行)のカーニー総裁は20日、米フェイスブックが公表した仮想通貨(暗号資産)の「リブラ(Libra)」構想について「規制当局は通貨や金融安定への影響を慎重に検討する必要がある」と語った。計画通りに展開すれば「金融システム上の重要性を持ちうる」と述べた。金融市場の安定を担う中銀として今後の展開を注視する方針を示した。
金融の将来をテーマとするロンドンでの講演で言及した。カーニー氏は「国内間や越境の決済コストを劇的に下げるかもしれない」と評価した。その上で「イングランド銀行は構想に寛容だが門戸開放というわけではない」とし、サービス開始前に金融監督当局として調査が必要になると強調した。
具体的には、マネーロンダリング(資金洗浄)や個人情報保護、運営面の安定確保などの面で高い基準を満たす必要があると指摘した。主要国の金融当局でつくる金融安定理事会(FSB)や、国際通貨基金(IMF)など国際的な場で議論を促していく方針だ。
リブラは暗号技術を使った新しいデジタル通貨で、フェイスブックは18日、2020年に送金や決済などの金融サービスを始めると発表した。
仮想通貨とは紙幣や硬貨といった実物がなく、インターネット上でやり取りするお金を指す。専門の取引所を通じてドルや円などの通貨と交換できる。代表的な仮想通貨としてビットコインがある