小野薬品の株主総会、「説明責任果たしていない」
本庶氏との対立巡り 株主から意見
小野薬品工業が20日、大阪市内で株主総会を開いた。同社は本庶佑・京都大学特別教授と、がん免疫薬の特許への対価を巡り対立している。相良暁社長は総会で「ご心配をおかけした」としつつ、「当事者同士で話し合うべき事で、この場では言えないことがある」と詳細な説明は避けた。株主からの質問では対立や株価の低迷を問題視する声が相次いだ。
株主からは「本庶氏との当初の契約内容を知りたい」との声が多かったが、具体的な説明はなかった。
福岡県久留米市から来た60代の男性は「株主への説明責任を果たしていない。危機管理対応もお粗末だ」と苦言を呈した。そのうえで「契約は契約。本庶氏が見直しを求めることもおかしい」と話した。本庶氏が小野薬品の提訴を検討していることについても、京都市の60代男性は「裁判になっても契約があるので、小野薬品が勝てるのではないか」と話した。
一方で「株主への分け前が減るが、当初契約の経緯次第では寄付も仕方ない」(大阪市の70代男性)との声もあった。対立の解消を求める声は少なくない。大阪市の50代女性は「今後の医学のためには少額でも毎年寄付し、ウィンウィンの関係になった方がいい」と話す。京都市の20代女性は「薬自体に価値はある。対立の話よりも、患者のために副作用をどうするかなど本業の話を聞きたかった」と述べた。
小野薬品は総会後、「株主からの声を踏まえて本庶氏側との話し合いを続けていく」とコメントした。この日の総会には前年と比べ355人少ない553人が出席し、所要時間は98分(前年は116分)だった。意見や質問を表明した株主は9人(同14人)だった。
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