認知症の不明者、6都府県で1000人超 早期発見へ対策
警察庁が20日に発表した、2018年に認知症が原因として行方不明届が出された人数は6都府県で1千人を超えた。死亡が確認された人数も高止まりが続いており、警察や自治体は早期発見に向けた取り組みを急いでいる。
都道府県別の届け出数は、大阪府が2117人で全国最多だった。埼玉県が1782人、兵庫県が1585人、愛知県が1422人、神奈川県が1280人、東京都が1246人。この6都府県で、認知症による行方不明者全体の半数を超える。
18年に死亡が確認されたのは508人で、16年の471人、17年の470人からさらに増えた。主な死因は交通事故のほか、低体温症などによる衰弱死や、河川に転落した溺死など。体力や判断力が低下した高齢者の場合、遠方まで徘徊(はいかい)し発見が遅れた場合は命に関わる。
18年中に行方不明になり警察に届け出があった人のうち、197人は同年中に所在が確認できていない。交通機関を利用して遠方に行ったまま戻れなくなるケースもあり、早期の発見が求められている。
警察庁は各地の警察に対し、届け出人の意思に基づきホームページやSNS(交流サイト)で行方不明者の情報公開をしたり、地域の自治体や高齢者施設、タクシー事業者などでつくる「はいかい高齢者SOSネットワーク」と情報を共有したりする対策を呼びかけている。
取り組みには地域差がある。大阪府警は14年から、自治体や高齢者施設などが保護した身元不明者の顔写真や特徴などの情報を掲載した「身元不明迷い人台帳」を府警本部と警察署に設置。群馬県警は顔写真や手のひらの静脈の形状といった本人確認用の情報を事前に登録する活動を進めている。
ただ、こうした情報は個人情報に当たるため、警察庁の担当者は「外部の団体と共有する情報とその仕組みについては、自治体ごとに判断が分かれている」と話す。
認知症以外も含めた18年の行方不明者の総数は8万7962人で、前年から3112人増えた。年代別では20歳代が1万8518人、10歳代が1万6418人と若年層が目立ったが、80歳以上も1万1326人、70歳代も1万人いた。