党首討論の詳報
党首討論の主なやりとりは次の通り。
【老後資金問題】
枝野幸男立憲民主党代表 老後に夫婦で2千万円の蓄えが必要と試算した金融庁金融審議会の報告書を契機に、年金への関心と老後に対する不安の声が高まっている。
安倍晋三首相 国民は年金によって老後の生活をまかなえるか、年金は持続可能なのか不安を持っていると考えている。
枝野氏 国民の不安の本質に、安心ばかりを強調して実態と向き合わない政府の姿勢がある。
首相 平均値で見るのが良いのか。報告書はここに大きな問題があった。大きな誤解が生じた。違和感を感じた人もいる。大切なのは、年金生活者の生活実態は多様で、実態に対応するものになっているかどうかだ。
玉木雄一郎国民民主党代表 報告書を作った金融庁に激怒したのか。
首相 私はめったに激怒しない人間だと自民党内で理解されている。大切なことは、国民に誤解を与えない資料を作ることだ。
玉木氏 諮問した麻生太郎副総理兼金融担当相が報告書を受け取らないのは問題だ。行政のガバナンスが衰えていく。しっかり受け取ってください。年金制度の持続可能性が担保されているとする根拠が分からない。新しい財政検証を見て答弁しているのか。
首相 今度の財政検証をいつ出すかについては政局とは関わらず、しっかりと検証し、報告してもらいたい。
志位和夫共産党委員長 マクロ経済スライドによる年金給付水準の引き下げは大問題だ。無責任でばかげた政策だ。
首相 マクロ経済スライドを廃止し将来の受給者の給付が減らないようにするには7兆円の財源が必要だ。マクロ経済スライドをやめてしまう考え方は、ばかげた案だ。
片山虎之助日本維新の会共同代表 報告書を受け取ってはどうか。頼んでおいて、気に入らないから受け取らないのはやめた方がいい。
首相 報告書は誤解につながる。
【社会保障】
枝野氏 家計単位で医療、介護、保育、障害者福祉の自己負担に上限を設ける「総合合算制度」を導入すべきだ。
首相 経済を成長させ、収入を増やし、社会保障の基盤を厚くする。
【経済実績】
枝野氏 経済的な最終成績は実質経済成長率だ。2010年から12年は1.8%で、13年から18年は1.1%だ。
首相 デフレ自慢にしかならない。
【政治姿勢】
玉木氏 都合の悪いことを隠蔽したり、なきものにしたりする政権の態度が国民に不安を与え、消費が萎縮している。隠蔽体質がアベノミクス成功の一番の阻害要因になっているんじゃないか。
【衆院解散】
片山氏 この国会で衆院を解散するのか。
首相 解散という言葉は私の頭の片隅にはない。
片山氏 野党から内閣不信任決議案や首相に対する問責決議案が出たときはどうするか。
首相 (衆院解散は)片隅にもない。この後(国会が)どのように展開していくかは予測できない。
片山氏 首相の自民党総裁任期は21年9月末だ。衆院議員任期は21年10月だ。2年数カ月のうちに解散するか。
首相 私自身が解散する可能性は21年9月までになる。その次の方は残り1カ月の中で判断されるだろう。〔共同〕