3万年前の航海、丸木舟で再現 6月下旬にも実施
国立科学博物館は18日、人類が大陸から日本列島に移動した約3万年前の渡航を再現する実験航海を6月下旬にも実施すると発表した。2016~18年に草や竹で作った舟で達成できなかったが、今回は杉の木をくりぬいた丸木舟で挑む。チーム代表の海部陽介・人類史研究グループ長は記者会見で「祖先が成し遂げた航海がどれだけ困難な挑戦だったかを明らかにしたい」と話した。
予定期間は6月下旬から7月中旬までで、台湾東部から与那国島までの約200キロを、当時の技術で作った丸木舟で航行する。訓練した男女5人のこぎ手が乗り込み、交代しながら30~40時間こぎ続けて与那国島を目指す。目視や風向、夜間の星の位置などを頼りに進む。
台湾と与那国島の間には黒潮が流れており、人力の丸木舟が潮の流れを乗り越えられるかが焦点だ。草や竹で作った舟で周辺海域を航海した際は、どちらも海流に流されて進路を阻まれた。
丸木舟は扱いが難しいものの速いのが特徴。海部氏は「成功の可能性は十分にある。今は成功させることだけを考えてやっていく」と語った。