印航空ジェット社、株価4割下落 破産手続き開始
【ムンバイ=早川麗】経営難に陥っているインド航空会社ジェット・エアウェイズの再建を主導する銀行団は17日夜、同社の破産を申し立てると発表した。スポンサー企業を探していたが、再建に向けた提案は資金面などで折り合わず断念した。今後、裁判所に相当する会社法審判所(NCLT)が申し立てを受理し、管財人のもとで新たな再生計画が練られることになる。
ムンバイ証券取引所では18日、朝からジェット社株が売られ、前日に比べ約41%安の40ルピー台で終えた。地元紙によると、銀行団は18日にもNCLTに申し立てる可能性がある。
フルサービスの航空会社であるジェット社は2018年の国内航空旅客数でシェアが15.5%を占め、最大手の格安航空会社(LCC)インディゴ(シェア41.5%)に次ぐ業界2位だった。しかしLCCとの競争が激しく、原油高も続き経営が急速に悪化した。18年3月末で約840億ルピー(約1300億円)の負債を抱え、資金繰りにも行き詰まっていた。
19年3月には創業者であるナレシュ・ゴヤル氏は辞任に追い込まれ、国営インドステイト銀行を中心とする銀行団が主導して再建が決まった。しかし銀行団は当面の運航に必要な資金を拠出せず、ジェット社は4月中旬に全面的な運航停止を余儀なくされた。
銀行団は5月10日を締め切りとし、ジェット社に出資する企業を募集した。既存株主であるアラブ首長国連邦(UAE)のエティハド航空など数社が出資に名乗りを上げた。ただエティハドが提案した出資額では再建には不十分だった。
債権団は17日の声明で「ジェット社の再建を探っていたが、破産・倒産法に基づく再建しか道は残されていないと判断した」と述べた。
ジェット社の18年3月期の売上高は前の期比4%増の2395億ルピー、最終損益が76億ルピーの赤字だった。過去5年間で最終赤字を3回計上するなど経営が悪化していた。
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