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日立、攻めの投資 資本効率を重視

世界と戦う(1)

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2019年3月期に3年ぶりの最終減益となった日本企業。ここ数年で収益力を高めてきたが、世界の競合はその先を行く。ライバルと比べ、日本企業の立ち位置と課題を探る。初回は日立製作所。金融危機後の巨額赤字から稼ぐ力を取り戻し、2020年3月期は連結営業利益で3年連続の最高を見込む。

「やっと投資家に資本効率を見せられる形になってきた」。5月に今後3年間の中期経営計画を発表した日立。東原敏昭社長は次の成長ステージに入ったとの考えを示した。

前期まで重視していたのは売上高営業利益率だ。低採算案件の撤退や製品の絞り込みを進める一方、成長戦略の柱として16年から「ルマーダ」と呼ぶサービス基盤の運用を始めた。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」技術を駆使する。例えば工場設備をネットにつなぎ、稼働状況を見える化してコスト削減を提案。顧客の裾野を広げている。

その結果、前期は目標に掲げた「利益率8%」を達成し、アナリストからは「改革力は国内電機ではトップクラス」(野村証券の山崎雅也氏)との評価も出る。

だが、利益水準や利益率だけを見ていたのでは世界のライバルと戦えない。「これからは資本コストも重視する」(東原社長)。そこで導入したのがROIC(投下資本利益率)だ。税引き利益を株主資本と有利子負債の合計額で割った指標で、どれだけ効率的に資金を使っているかを示す。投資家などの期待リターンである加重平均資本コスト(WACC)を上回らなければ持続的に価値を創造できない。

日立は今後3年で重点分野に最大2.5兆円を投資する計画だ。前期までの3年間(0.5兆円)から大幅に増やす。攻めの投資を企業価値の向上につなげるため、ROICを目安に財務規律を高める狙いだ。

そのROICで世界の重電大手を比べてみると、日立の半歩先を行くのが独シーメンスだ。

調査会社のジェイ・フェニックス・リサーチによると、18年度は日立が5.7%に対し、シーメンスは6.8%。WACCはいずれも5%台だった。事業領域の重複が多い両社だが、資本効率はシーメンスに軍配が上がる。

同社の強さは主要部門の利益率に表れる。日立は前期にルマーダを擁するITで売上高営業利益率が10%を超えた。ただ利益率2ケタの部門の比率は日立が2割(5分の1)だったのに対し、シーメンスは半数(8分の4)だ。特に産業用のIoT機器を手掛けるデジタル工場部門は20%に達する。日本でも手掛ける医療機器も17%だ。

世界トップクラスが見込める事業だけに集中し、規模が縮小しそうな市場なら競争優位でも切り離す。過去15年で半分の事業を入れ替えた。こうした経営判断の根幹にあるのが「ピクチャー・オブ・ザ・フューチャー」と称した未来図だ。大学教授など外部専門家の知見も取り入れ、10年以上先の産業構造を占う。

IoT時代の到来は00年代前半に予見し、10年以上前からシステム開発を手掛ける企業を数多く買収した。半面、4月には需要の陰りから中核だった火力発電部門の切り離しも決めた。同社のジョー・ケーザー最高経営責任者(CEO)は「多数の事業を抱えるコングロマリット型よりも、特定分野に集中した方が望ましい」と指摘する。

対する日立で選択と集中が本格化したのはリーマン危機後だ。事業転換の経験値やスピードではシーメンスに一日の長がある。日立は1月、スイスABBの送配電部門の買収を決めた。負債も含めた金額は1兆円規模に達する。低採算の白物家電を含むライフ部門や産業部門は、さらなる事業の選別が課題だ。シーメンスに追いつくには、資本効率に照らして攻めと守りを加速させる必要がある。

世界の重電、トップはハネウェル

世界の重電業界を見渡せば、独シーメンスよりさらに高いROICを確保する企業もいる。その筆頭が米ハネウェル・インターナショナルだ。3年平均のROICは15.4%。時価総額は足元で13兆円を超え、日立製作所(4兆円弱)やシーメンス(11兆円弱)を上回る。

ハネウェルは航空機の部品や制御システムなどが主力だ。主要4部門の売上高営業利益率は2018年12月期に全て15%を超えた。18年10月には自動車部品のターボチャージャーを手掛ける事業など2社を分社化した。ダリウス・アダムチック最高経営責任者(CEO)は「よりシンプルに事業の的を絞る」と話す。

米ユナイテッド・テクノロジーズ(UT)も抜本的な事業入れ替えが市場に評価されている。20年前半にエレベーターの「オーチス」と空調設備の「キヤリア」の両事業を分社化する。一方で9日には米防衛大手レイセオンとの合併を発表し、航空分野に特化する姿勢を鮮明にした。

半面、長年業界をけん引してきた米ゼネラル・エレクトリック(GE)は火力発電や産業用IoT基盤の不振が響き、18年12月期は2期連続の最終赤字に沈んだ。時価総額は2年余りで3分の1になった。

コングロマリット企業は事業間の相乗効果を厳しく問われている。前期最高益だった日立も例外ではない。(野口和弘)

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