香港デモ、収拾みえず 逃亡犯条例「撤回せず」に反発
「逃亡犯条例」改正案を巡る香港の民主派団体によるデモの参加者は17日朝になっても政庁や立法会(議会)のまわりに集まり、収拾のメドが立たない(「200万人デモから一夜の香港、抗議活動続く 政府庁舎閉鎖」参照)。主催者は16日の参加者が「200万人近く」に達したと発表した。林鄭月娥行政長官は混乱の発生について声明で謝罪したが、デモ側が求める改正案の撤回や林鄭氏の辞任には応じず、一段の反発を招いている。米政府は調整中の大阪での中国との首脳会談で、この問題を議題の一つにする構えだ。香港の混乱が長引けば、米中関係にも大きな影響を与えそうだ。
(1)200万人デモ、発端は「逃亡犯条例」
逃亡犯条例の改正案は、香港で拘束した容疑者を中国本土に引き渡せるようにする内容で、中国に批判的な人物が移送対象になるとの懸念が強い。政府が12日に起きた学生らの道路占拠を「暴動」と呼び、催涙弾を使った強制排除で多数のけが人が出たことにも批判が集まっている。
(2)条例延期表明でも反発収まらず
林鄭氏は15日に改正を延期すると表明したものの撤回には応じず、市民の反発が強まった。デモの主催者団体は16日夜の声明で、改めて条例改正の撤回や行政長官の辞任を求めた。要求が聞き入れられない場合、17日に大規模なストライキに踏み切ると宣言した。
(3)国際社会からも批判
中国は月末の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)を前に事態収拾に動いたが、デモ隊と警察の大規模な衝突で国際社会に波紋が広がっている。ポンペオ米国務長官は16日のFOXテレビのインタビューで、G20サミットでトランプ大統領が中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席に提起するとの見通しを示した。