運輸安全委「事故前の断線が原因」 横浜の新交通逆走
横浜市の自動運転の新交通システム「シーサイドライン」が逆走した事故で、運輸安全委員会は14日、車両内で事故前に発生した断線が原因で、進行方向が正常に切り替わらなかった可能性があると明らかにした。運営会社の横浜シーサイドライン(横浜市金沢区)は、異常が検知された場合に発車指令を出さないようシステムを改善する。
国土交通省は同日開いた事故防止の検討会で、他の新交通システムでの検証結果を報告。同様の断線が起きても、異常が検知された場合に車両が停止する装置などがあり、逆走しないことが確認されたと説明した。
運輸安全委によると、シーサイドラインの車両内部には駅からの指令に基づき、進行方向をモーターに伝える配線が2本装備されている。事故車両では、2本のうち事故の起きた新杉田駅(同市磯子区)から金沢八景駅(金沢区)方面に向かう信号を伝える配線「F線」が切れていた。
反対方向への指示を伝える配線「R線」は切れていなかった。このため事故直前まで伝わっていた新杉田駅方向に進む指示が維持されて逆走し、車止めにぶつかったとみられる。配線は熱で溶けた可能性があるという。
横浜シーサイドラインは配線が車体内部の骨組みに長期間接触し、損傷したとみられると説明している。同社はモーター制御装置のソフトや回路の設計を変更、異常を検知した場合は発車指令を出さない仕組みにする。
14日の検討会には同社を含む新交通システムの7事業者が参加した。検討会は他に事故原因がないか検証し、再発防止策が適切かなど無人運転の再開について議論する。