チケット不正転売、五輪で対策強化 新法14日施行
チケット不正転売禁止法が14日施行され、スポーツイベントやコンサートのチケット転売に対する規制が強化された。インターネット上で高値を付けて売りさばく行為が横行するなか、2020年東京五輪・パラリンピックに向けて急ピッチで法整備が進んだ。
新法は、転売目的でチケットを購入したり、「業」として反復継続して定価を上回る価格で販売したりすることを禁止した。違反した場合、1年以下の懲役か100万円以下の罰金、または両方が科せられる。法案は18年11月に議員提案で国会に提出され、翌12月にスピード成立した。
16年リオデジャネイロ五輪のチケットの販売率は87%だったが、多くの競技会場で空席が目に付いた。転売でチケットが高騰し、結果的に売れ残ったことも要因の一つとされる。
国際オリンピック委員会(IOC)は悪質な転売や空席による五輪のイメージ悪化を懸念し、東京大会の組織委員会に転売対策を求めていた。「ネットの不正転売に歯止めをかける手立てがやっとできた」と組織委幹部は新法施行を喜ぶ。
組織委としても転売防止には力を入れており、チケット購入にあたっては事前に個人情報を登録してIDを取得する仕組みを採用した。公式サイト以外で購入したチケットは「無効」とし、入場時には身分証の提示を求めて登録情報と照合する。不要なチケットは公式のリセールサイトに限り定価で売却可能とした。
組織委の要請を受け、フリーマーケットアプリを運営するメルカリ、ヤフー、楽天の大手3社も五輪チケットを取り扱わないと表明している。
ただ、IDごとチケットを転売して買い手に登録内容を変更させるなど「抜け穴」は残る。たまたま急用で行けなくなった場合など、「業」に当たらなければ今後も転売は認められるため、「業者がSNS(交流サイト)などを使って正当な相対取引を装うこともある」と警察幹部は話す。
20日には五輪のチケット申し込みの抽選結果が発表されることになっており、組織委や警察当局は不正転売の動きがないか警戒を強めている。