道経連、会長に北電・真弓氏 食の輸出に意欲
北海道経済連合会は13日、定時総会を開き、第10代会長に北海道電力の真弓明彦社長(65、26日に会長就任)を選任した。北電会長が道経連会長に就くのは第7代の近藤龍夫会長以来。真弓氏には4月に就任した鈴木直道知事と連携を強めるなどし、人口減や高齢化できしみが目立ち始めた北海道経済の成長に向けた手腕と強いリーダーシップが求められる。
真弓氏は就任あいさつで「北海道の人口減少対策に向けてはここ数年が正念場。反面、世界人口の大幅な増加は商機だ」と話し、食の輸出や訪日客の拡大策による外需の取り込みに意欲を示した。
副会長には北洋銀行の安田光春頭取や北海道銀行の笹原晶博頭取、トヨタ自動車北海道の北條康夫社長ら5人を新任。副会長は7人から10人体制となった。
真弓氏は総会後の記者会見で「道庁や他の経済団体などと連携を密に図りながら、北海道経済の持続発展に向け、多少大胆でも未来に向けた道筋を示す取り組みを進めることが重要」と決意表明。泊原子力発電所(泊村)の再稼働で日本一高い電気料金を是正できれば「北海道経済にもプラスの効果を図っていける」と、経済界トップとしても再稼働を推進していく方針を示した。
前会長の高橋賢友氏(65)は任期を1年残して退任した。会長を務めた3年間で印象に残っていることとして、2016年の連続台風と18年の胆振東部地震といった災害に「国や道をはじめとする関係機関と復旧復興に向けて取り組んだ」を挙げた。新リーダーに解決を託す課題としては、北海道にとって基盤の弱い製造業分野の人材育成と産学連携の強化、そして北海道と本州を結ぶ物流を巡る議論について「成果を新会長に期待したい」と話した。
道経連の会長は1974年の設立時から2014年まで北電の会長もしくは会長経験者が務めてきた。12年に北電会長に就任した佐藤佳孝氏が経済界活動から距離を置き、道経連会長に北電会長が就かない人事が続いていた。北電の「トップ」ではない会長が続いたことで、最近では道経連の求心力不足を指摘する声もあった。
一方で、道経連とともに経済3団体の一角を担う北海道商工会議所連合会が4月の北海道知事選などで旺盛な政治活動を展開するなど、独自の存在感を発揮していた。真弓氏は26日に北電会長に就任する予定で、道経連の活動に軸足を置くとみられる。
真弓氏は北電社長として18年9月の全道停電(ブラックアウト)の復旧や再発防止策の策定などに対応した。今後は道内経済界全体のかじ取り役として、人口減や産業再生、公共交通の再構築、エネルギー政策など諸課題の解決にリーダーシップを発揮できるかどうかが問われる。(安藤健太)