シェアサービス、安全利用へ国際規格 トラブル相次ぎ
モノやサービスを相互利用するシェアリングエコノミーについて、国際規格を作る動きが始まった。13日、国際標準化機構(ISO)が都内で国際規格を作る会議を初めて開いた。シェアサービスを巡ってはインターネットを通じた個人間取引のトラブルなどが少なくないため、安心して利用できる枠組みを作る。会議は日本が幹事国を務める。ルール作りで主導権を握ることができるかどうかも焦点だ。
会議は14日まで開かれる。米国や中国、フランスなど日本を含め8カ国の当局担当者や専門家が出席し、海外の消費者団体なども参加している。
国際規格が求められているのは、世界中でシェアサービスのトラブルが相次いでいるためだ。中国のライドシェア大手、滴滴出行では2018年、運転手が利用者を殺害する事件が2件発生した。民泊でも、サイトに掲載された写真と実際の部屋が大きく違っていたり、事前に示した料金とは異なる金額を請求されたりするケースがあった。
会議の冒頭で経済産業省の渡辺昇治・官房審議官は「シェア経済は伸び続ける市場だが、安全性や信頼性で問題がある。国際規格の開発は非常に重要だ」と述べた。
規格作りを主導するのは日本だ。内閣官房が作成したガイドラインを基にシェアリングエコノミー協会(東京・千代田)が17年から認証制度を運営している。シェアサービスを利用する際の厳格な本人確認や、適切な利用規約の制定など6つの分野でルールを定めている。米ウーバーテクノロジーズの宅配代行サービス「ウーバーイーツ」など20のサービスが認証を受けている。
国際規格の制定に向け、日本は会議の幹事国を務めるほか、日本の認証制度をベースに規格案を提出する見込みだ。国際規格に日本の意見などを反映できれば、シェアサービスを手掛ける国内企業のグローバル展開に弾みがつく可能性もある。
会議では、サービスを提供する個人を保護する仕組みを求める声も出そうだ。基本的にサービスやモノを提供する個人と仲介する事業者との間に雇用関係はなく、事故などが起きた際の保護も不十分なためだ。日本ではウーバーイーツで働く個人が労働組合を結成する動きも出ている。