アリババ、香港取引所に上場申請 米メディア報道
【上海=松田直樹】中国ネット通販最大手のアリババ集団が香港取引所に株式上場を申請したことが13日分かった。米ブルームバーグ通信が報じた。ニューヨーク証券取引所との重複上場になる。アリババの時価総額は直近で約4000億ドル(約44兆円)。香港市場で過去最大の上場案件となる可能性がある。
13日までに香港取引所に上場申請書類を提出したもよう。上場によりアリババは約200億ドルの資金調達を計画しているとみられ、調達先を多様化する狙い。
米国に上場する中国企業を巡っては、2019年5月末に半導体受託生産の中国最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)が、ニューヨーク証券取引所に上場廃止を通知した。米中対立が影響したとの見方が出ている。
ニューヨークに上場するアリババの株価も、米中の対立が激しくなった5月以降、2割弱下落している。米国市場では中国企業への評価が厳しいともされ、このタイミングでの香港での上場申請は米中の関係悪化が影響している可能性がある。
アリババはかつて上場に当たり、香港市場を検討したが結局、14年にニューヨーク市場を選択し、上場した。経営陣が取締役を任命できる「パートナー制」などを巡って香港取引所と意見が合わず断念した経緯がある。
香港取引所はその後、有力企業の誘致を優先するため、18年に経営陣に強力な議決権を与える種類株を発行する企業の上場を認める方針に転じた。こうした事をきっかけに、アリババの馬雲(ジャック・マー)会長も最近、「香港での上場を真剣に検討する」と語っていた。