トヨタ社長「モビリティー社会切り開く」 株主総会本格化
株主の目、厳しさ増す
2019年3月期決算企業の株主総会が今週から本格化する。13日はトヨタ自動車が愛知県豊田市の本社で株主総会を開き、豊田章男社長は「将来のモビリティー社会を株主の皆様と、切り開いていきたい」と語った。世界経済の不透明感が増し、今年の総会ではトップのかじ取りを問う株主の声も強まる。株主提案を受けた企業数も58社と過去最高となり、株主の目は厳しさを増している。
トヨタの総会には過去最高の5546人の株主が出席した。売却条件のある現物株を付与する「譲渡制限付き株式報酬」導入に合わせた役員報酬枠の拡大など、会社提案の4議案が可決された。
売上高は日本企業で初めて30兆円を超え、本業は好調だ。ただ、自動車産業全体では自動運転や電動化など「CASE」の分野で技術革新が急速に進む。株主からはトヨタの取り組みへの質問があった。高齢者の事故が増えているため、安全性への質問も多かった。
東京証券取引所によると3月期決算企業の総会集中日は27日。パナソニックや三菱地所など全体の3割に当たる719社が予定する。上場企業の業績が全体で減益となり、不振企業には経営責任を問う声も強まる。
筆頭株主の仏ルノーが定款変更議案への棄権を示唆した日産自動車(25日)や、買収の是非が焦点の武田薬品工業(27日)などが注目される。
機関投資家が個別議案の賛否について開示するようになり、議案への反対票は増えている。株主提案に対しても「論理的な提案には反対を表明しづらくなっている」(琴平綜合法律事務所の渋谷展由弁護士)という。
関連企業・業界