ルノー会長、日産人事案に不満 FCA交渉再開に含み
【パリ=白石透冴】仏ルノーは12日午後(日本時間同日夜)、株主総会を開いた。ジャンドミニク・スナール会長は日産自動車の統治改革に関する不満を示し、日産が設ける専門委員会それぞれに「ティエリー・ボロレ最高経営責任者(CEO)らルノーの代表も委員として加わりたい」と明言した。同時に「(日産に)戦いを挑むということではない。対話をしていきたい」と述べた。
ルノーと日産の間では、スナール氏がルノー会長に就任した1月から融和ムードもあったが、4月以降は経営統合問題や日産の株主総会での議案の扱いをめぐり緊張関係にある。
スナール氏は「前会長兼CEOのカルロス・ゴーン被告の事件で企業連合が傷ついていることが分かった。優先事項は強力な連合を復活させることだ」と述べ、関係修復を進める考えも示した。
一方、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)との統合交渉が破談になったことに関しスナール氏は「落胆した」とし、「(ルノー筆頭株主の)仏政府と考え方の違いがあった」と語った。同時に「私の頭の中には素晴らしいプロジェクトとして残り続ける」とも述べ、FCAとの交渉を再開する可能性も示唆した。
ルノーは株主総会で、ゴーン前CEOに2018年の成果連動報酬(22万4千ユーロ、約2700万円)を支払う議案を諮り、88.66%の反対で否決された。ルノーはゴーン前CEOを巡る不正疑惑を受け、同議案に反対するよう株主に異例の要請をした。ルノーの議決権28.6%を持つ仏政府も会社の方針に従った。
ルノーは日本向けの情報発信を強化するため、今回の株主総会を初めて日本語でインターネット中継した。
日産自動車が選択を迫られている。
内田誠新社長のもと、業績をどう立て直すのか、筆頭株主である仏ルノーとの関係をどう再構築するのか。
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