金正恩氏が韓国に弔意伝達 板門店に与正氏派遣
【ソウル=恩地洋介】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長の妹、与正(ヨジョン)氏は12日、軍事境界線にある板門店を訪れ、10日に死去した故金大中元大統領の李姫鎬(イ・ヒホ)夫人への金正恩氏の弔辞を韓国側に伝達した。韓国大統領府の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長と約15分面会した与正氏は「李女史の遺志を踏まえ南北協力の継続を願う」と述べた。
鄭氏の説明によると、金与正氏は弔辞とともに弔花を贈った。文在寅(ムン・ジェイン)大統領に宛てた金正恩氏のメッセージなどはなかった。金与正氏には対韓国工作を担う統一戦線部の室長が1人だけ同行していたという。
一方、文大統領は12日、訪問先のノルウェーで記者の質問に応じ「6月末にトランプ米大統領が訪韓する。その前に金委員長と会いたい」と語った。実現は「金委員長の選択次第だ」と述べた。
10日に亡くなった李姫鎬さんは2000年の初の南北首脳会談の際、平壌に同行した。11年に金正日総書記が死去した時には韓国の弔問団として訪朝し、後継者の金正恩氏と面会した。「遠くからお越しいただきありがとうございます」と李さんの手を取る金正恩氏の姿は韓国で大きく報じられた。
韓国側は北朝鮮の弔問団派遣を望んでいた。南北対話の膠着打開につなげる思惑のためで、与党「共に民主党」の李海●(たまへんに贊)(イ・ヘチャン)代表は12日午前の党会議で「弔問団に期待している」と語っていた。しかし、北朝鮮は板門店での弔辞伝達にとどめる公算が大きくなった。
金与正氏は米朝首脳会談物別れの責任を取って「謹慎中」との説を韓国紙が報じたが、今月3日にマスゲーム公演を観覧したと伝えられ健在が確認されていた。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記のもと、ミサイル発射や核開発などをすすめる北朝鮮。日本・アメリカ・韓国との対立など北朝鮮問題に関する最新のニュースをお届けします。