経費削減の努力が「ふるさと納税で霧散」(ルポ迫真)
ふるさと納税 宴の後(3)
5月15日、東京都世田谷区役所の会議室。区職員と制御技術大手、アズビルの社員は、膝詰めで区有施設の維持管理費の削減について議論を重ねた。この4年間、あらゆる経費を削減し、区が捻出した財源は86億円。それなのに、ふるさと納税で91億円が流出した。「行財政改革の努力がふるさと納税で霧散した」。ふるさと納税対策担当課長の中西成之(48)は嘆く。
ふるさと納税をした人は、住む自治体に納める住民税が控除される。控除額の75%は国が地方交付税で穴埋めするが、東京23区などの不交付団体は控除額が税収減に直結する。
世田谷区の2019年度の流出額は53億円の見込みで、子供の医療費無償化予算(44億円)を上回る。23区の流出額は18年度で計321億円と4年間で35倍に...
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