「一生に一度」広がる輪 参加国の国歌合唱や絵本監修
「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」。W杯のコピーに込められた思いを選手側も共有する。ラグビーを盛り上げる千載一遇の機会を逃すまいと、アスリートの発案で様々な活動が広がっている。
5月中旬の夜、横浜市内のバーで時ならぬ大合唱がわき起こった。先住民の言葉が入ったニュージーランド国歌と、ラグビーのアイルランド代表戦で国歌の代わりに歌われる「アイルランズ・コール」。約70人のラグビーファンが歌詞カードを手に、最後は全員で肩を組んで声を張り上げるほど盛り上がった。
仕掛け人は2015年W杯日本代表だった広瀬俊朗さん。世界から訪れるファンのおもてなしとして、各国国歌を歌うことを思いついた。これまでW杯はラグビー強豪国での開催だったため、試合会場で開催国の人がライバルの国歌を歌う姿はなかった。「日本だからこそできる。各国の歴史を子どもが学ぶことにもつながる」と広瀬さん。
プロジェクトを「スクラムユニゾン」と命名。知り合いの音楽家に声をかけ、歌詞と音が流れる映像を作ってユーチューブにアップ。すでに15カ国分が視聴できる。大会までには全参加国を網羅し、「活動が広がれば、世界の人が喜んでくれる」と夢を語る。
日本ラグビーフットボール選手会は絵本「らくがきボール」を監修し、2月に出版した。15年W杯メンバーの畠山健介会長が、子どもにラグビーに親しんでもらうために発案した。
本を開くとラグビーボール型になるユニークな体裁で、楕円球が様々なものに姿を変える物語が受け、当初の9000部から増刷。これまで1万2000部を発行する人気ぶりだ。