シャープ戴社長「M&Aで成長」 優先株を全て消却
シャープの戴正呉会長兼社長は11日、東京都内で経営方針説明会を開いた。主力取引銀行2行が保有する優先株を自己資金で買い入れて消却するが、戴社長は「経営の安全性には問題がない」と財務の健全化に自信を示した。M&A(合併・買収)を駆使して、成長分野に必要な人材を獲得する方針も示した。
シャープは経営危機に陥った2015年に債務と振り替える形で優先株を発行。みずほ銀行と三菱UFJ銀行が引き受けた合計2千億円の「A種種類株式」のうち、残っている約970億円分を今月21日に取得して消却する。
戴社長は2行が保有する優先株について、普通株よりも配当負担が重いことなどから「経営への影響が大きかった」と語った。7月には銀行側が普通株への転換を請求できる権利が発生することもあり、処理に踏み切った。
戴社長は今後の成長戦略について、「親会社である鴻海精密工業からの資金に頼らず、シャープが稼ぎ出した資金でM&Aや投資をしていく」と語った。「日本電産のように成長を目指す事業分野で買収を進め人材も獲得したい」とした。