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石油元売り3社、苦肉のポイント還元 消耗戦回避へ

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石油元売り3社が、10月の消費増税に伴い政府が導入するポイント還元策に踏み切る。国内最大手のJXTGエネルギーは7日、政府の支援対象外の給油所も含め、すべての系列給油所で実施すると発表した。出光興産コスモエネルギーホールディングスも追随する。ポイント還元に伴う負担額は3社合計で100億円以上と産業界で最も大きい。横並びのポイント還元は、価格競争による消耗戦を回避するための苦肉の策だ。

ポイント還元は消費増税にあわせた経済対策だ。中小企業などでキャッシュレス決済をした消費者に、支払額の一部をポイントとして与える。大手フランチャイズチェーン(FC)に加盟する中小の店舗の場合、政府が負担して買い物額の2%を還元するが、大企業の店舗は対象にならない。

JXTGは「ENEOS」ブランドの約1万3000の給油所がある。そのうち、同社グループが資産を保有する約3000の給油所は大企業の店舗とみなされ、政府が負担するポイント還元の対象から外れる見通しだ。対象外の店舗の還元分はJXTGが自ら負担する。

同社が発行する「ENEOSカード」などでガソリン代を支払った場合にポイントを付与する。JXTGは「(全店で実施しないと)消費者の混乱を招く」と説明するが、「他社に顧客が流れる懸念もあった」(幹部)。還元対象を自社発行のカードに絞る点からも競争意識が透けてみえる。

品質で違いを出せないガソリンは、1990年代から1円単位で価格競争を繰り広げてきた。収益悪化につながり業界全体が疲弊してきたことが各社を再編へと突き動かした。2019年4月に出光と昭和シェル石油が統合して大手3社に集約された。安売り販売業者への供給を絞り、価格競争は落ち着いている。

ただ、原油高の影響もあり、消費者の間では「ガソリンが高くなった」との声は多い。16年4月時点のレギュラーガソリンの店頭価格(全国平均)は1リットル110円台だったが、足元では150円前後まで上昇しており、家計の負担感が強まっている。

ガソリンは1回当たりの支払いが数千円になる場合がある。今回の還元を金額で換算すると100円前後の値引きだ。出光とコスモも近くポイント還元を発表する。3社の負担額はそれぞれ数十億円規模になるとみられる。顧客を奪われるリスクを考えると、相応の負担はやむを得ないとの判断に傾いたようだ。

ただ、20年6月でポイント還元が終わった後も、消費者の目を意識して値引きを続ける販売業者が出る恐れもある。石油業界では再編初年度は市況が改善しても次年度には価格競争が再燃する負の連鎖が続いていた。ポイント還元が引き金になり、価格競争が起きる可能性もある。

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