トヨタ、2020年代前半にEV10車種以上 他社と連携
トヨタ自動車は7日、今後の電気自動車(EV)の商品戦略を明らかにした。2020年から量産型のEVを本格導入し始め、20年代前半には10車種以上をそろえる計画だ。世界展開するEVは車種を超えて部品共通化を進めるほか、SUBARU(スバル)やスズキなど他の自動車メーカーと連携して開発を進める。コストを抑えた製品を投入し普及につなげる。
「十分な種類のEVをリーズナブルな価格で提供できるよう、効率的な開発を進めている」
同日開いたトヨタの電動車戦略の説明会で、寺師茂樹副社長は力を込めた。同社は20年に中国で自社開発のEVを投入するのを皮切りに、EVの投入を本格化する。
世界展開するモデルは中型の多目的スポーツ車(SUV)やミニバン、小型車など6種類を展開する計画を表明。効率的な開発でコストを抑えるため、それぞれの車種を他メーカーと共同企画する考えも示した。具体的には中型SUVはスバル、小型車はスズキやダイハツ工業と企画する。
部品の共通化も進める。ドライバーの位置や電池の幅など、車種が違っても同じ部分を決めることで、同じ部品を使いやすくする。EVの駆動ユニットも数種類のモーターを組み合わせて様々な車種に対応できる手法を導入する方針だ。
国内は価格を抑えて提供しやすい小型EVの投入を加速させる。20年には買い物などの日常の近距離移動に使える2人乗りのEV、キックスケーターのような立ち乗りタイプのEVを投入する。21年にはスクーター型のEVも発売する予定だ。
電池分野では中国大手などとの提携に加え、次世代の「全固体電池」の開発の進捗状況も明らかにした。寺師副社長は「来年の(東京)五輪のタイミングで何らかの形を見せたい」と話した。
EVは基幹部品の車載電池が高額なことなどから、価格の高さが普及の足かせになっている。収益性の面でも「ガソリン車と比べると厳しい」(寺師副社長)。効率的な開発や生産でコストを引き下げられるかが、EVをビジネスとして成立させられるかを左右する。