コニカミノルタ、がん遺伝子検査で東大などと共同研究
コニカミノルタは6日、東京大学や国立がん研究センター研究所と共同で、次世代のがん遺伝子検査パネルを開発すると発表した。がん患者の遺伝情報から最適な治療薬を選ぶ「がんゲノム医療」のための遺伝子の検査で、東大が持つがん遺伝子パネル検査に、コニカミノルタ傘下の米アンブリー・ジェネティクスの技術を組み合わせる。半年後をめどに開発し、臨床的な成果につなげたい考えだ。
がんは遺伝子の変異をきっかけに発症する。遺伝子変異を探し、対応する薬を投与すれば高い効果が期待できる。遺伝子パネル検査では、がん組織などの多数の遺伝子を一度に調べ、専門家が結果を解析。最適な薬の選択につなげる。
コニカミノルタはがんなどの分野で患者に最適な治療法を提供する「個別化医療」を新規事業の一つに位置付けている。カメラや写真などの事業を手掛けてきた同社は材料・光学分野の技術を持っており、タンパク質を精密に測定する技術を自社で開発する。
17年にはアンブリー社と製薬会社の創薬を支援する米インヴィクロ社を合計1000億円以上を投じて傘下に収めた。画像診断装置などではわからない、分子レベルの体の異変をとらえる。事業を担当する藤井清孝専務執行役は「がんは遺伝子の異変から起こる病気で、臓器別の治療法が正解とは限らない」と説明。「人の体を分子レベルでプロファイリングする」(同)ことで医療機関や製薬企業を支援できるとみる。
がんゲノム医療については5月、中央社会保険医療協議会(中医協)が保険適用にすることを決定。これを受けて中外製薬やシスメックスなどのシステムが対象に決まった。
(諸富聡)