日米「為替条項」協議へ G20に合わせ財務相会談
【シカゴ=河浪武史】米財務省は4日、福岡で8~9日に開く20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に合わせ、ムニューシン財務長官が日本の麻生太郎財務相と会談すると明らかにした。米高官は「日米会談は貿易問題も議題となり、交渉には為替条項も含まれる」と述べた。ムニューシン氏は中国人民銀の易綱総裁とも会談する予定で、日米中はともに通商問題が焦点となる。
ムニューシン氏は7~9日の日程で福岡に入り、G20会議に出席する。ムニューシン氏が麻生氏と会談するのは4月下旬以来だ。米財務省高官は4日に「会談は多くの問題を扱うが、貿易問題も含まれる。米国は対日交渉に熱意を持っており、そこには為替条項も含まれる」と述べた。
日米は自動車や農産品を軸とする物品貿易協定(TAG)交渉を進めているが、日本は通貨政策の自由度を損なう為替条項の導入に強く反対している。米国は円安による日本車の輸出攻勢を警戒しており、ムニューシン氏は法的拘束力のある貿易協定で通貨安誘導を制限する為替条項の導入にこだわっている。両国の隔たりは大きく、先行きの火種となりそうだ。
ムニューシン氏は中国人民銀の易綱総裁とも会談する予定だ。米中は5月10日の閣僚会議を最後に、貿易問題の協議が途絶えている。トランプ米大統領は6月末に大阪で開く20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で中国の習近平・国家主席と会談する意向を示しており、中国側が応じるかが焦点だ。ただ、中国の貿易協議の主導役は劉鶴副首相で、ムニューシン氏と易綱氏との会談がどこまで進展するか不透明だ。