中国、レアアース輸出で新管理システム 米は国内生産強化
【北京=多部田俊輔、ワシントン=鳳山太成】中国政府は電気自動車(EV)の部材などとして不可欠なレアアース(希土類)で新しい輸出管理システムを設ける方向で検討に入った。米中貿易戦争が激化するなか、米側に揺さぶりをかける狙いだ。一方、米商務省はレアアースの安定供給に関する報告書を発表し、国内生産強化など対応を急ぐ方針を示した。
中国国営の新華社は4日、国家発展改革委員会がレアアースの専門家と会合を開いたと報じた。輸出に至る生産から加工までの全工程をさかのぼって審査するシステムを設けて輸出管理を強化すべきだと専門家が提言し、発改委は提言を盛り込んだ措置を早期に打ち出す方針を示した。
米商務省は4日、レアアースを含む重要鉱物の安定供給を確保するための戦略を示した。報告書はトランプ大統領が2017年12月に出した大統領令を受けて作成したものだが、いま公表することで中国をけん制する狙いがあるとみられる。
報告書では米国が重要鉱物の輸入に著しく依存していると指摘した。そのうえで「もし中国やロシアが米国や同盟国への輸出を長期間止めれば、長期の供給中断が米国や外国の重要鉱物のサプライチェーン(供給網)に深刻な衝撃を与えるだろう」と危機感を表した。
報告書はレアアースなど重要鉱物の国内生産を増やすため許認可手続きを簡素化するなどの提言を盛り込んだ。代替品の開発や調達先の分散で日本など同盟国と協力を拡大すべきだとした。ロス商務長官は声明で「米国が重要な鉱物から遮断されないようにするため連邦政府は前例のない行動を取る」と述べた。
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